こんにちは、みのむしチャンネルにようこそ。
今回は、「企業における不動産売却について」投稿させていただきます。
こんな記事掲載して誰か読むんだろうか??
投稿している私自身が疑問に思っています。
実は私は10年ほど前に数件の売却を経験しました。その業務は社内に相談者が少なく、精神的にはもの凄くキツいものがありました。「もしその時の体験が誰かの役に立つのであれば??」と半信半疑なまま投稿させていただきます。
はじめに
もし皆さんが会社から「会社の不動産売却の担当者になって欲しい」と言われたら、どんな事に気を付けて業務を進めたら良いでしょうか?皆さんが保有している知識・経験にもよりますが、急にこんな業務を依頼されても困ると思いますし、現実にその様な事態に追い込まれることは稀でしょう。
今回不幸にも(?)そんな稀なケースに巻き込まれた皆さんに向けて私の知る限りのノウハウを伝授いたします。
但し、高い専門性が必要となるところも多いので、そこには関連するリンク先を貼っておきます。本投稿においては『ケーススタディに沿ってどの様な事に考慮して業務を進めるべきか』の大きな流れに主眼をおいて説明させていただきます。
また、文字数が多くなりますので2回に分けて投稿します。本投稿はその前編です。
【ケーススタディ:自社工場を土地・建物(居抜き)で売却する場合】
大前提
売却者と購入者は法律的には対等ですが、実際はそんなことは有りません。売買の際には売却者は大きなリスクを負います!売却者は知りうる瑕疵を全て説明した上で購入者に買ってもらうのが重要で、ここでの積み残しは将来に大きな憂いを残すことになります。
最悪のケースでは、売買後訴訟に発展するケースもあるようです。<これぐらいは大丈夫だろう>という自分だけの判断は大変危険です。微妙なケースは社内外の専門家に情報を開示し判断を仰ぎながら慎重に進めていく必要があります。
売却者には売買契約の前にきめ細かい調査・報告が求められることになります。
まずは何をすべきか?
①対象となる不動産(土地+建物を想定)を自分の目で確認
あなたが対象不動産を一度も見たことが無いのであれば直ぐに見に行きましょう。実際目にすることで図面や写真等の資料からはわからない情報も手に入る事があります。社内では逆に皆さんが説明する立場になると思います。生きた情報を吸収しに現場に行きましょう。
②売却を進めたがっている部門(経理部門という事が多いです)の要望を確認
いつまでに処分(決済)したいのか?出来れば売却希望額の当たりも付けられれば更に良いですね。
③社内プロジェクトチームの立ち上げ
各部門のキーマンに入ってもらいましょう。経理、法務、環境、広報、自部門の上司、その他関係部門 という編成が一般的でしょう。その会社によって状況が違うと思いますが、社内で後々話をひっくり返されない様に根回しや段取りをしておくことが重要です。
④媒介会社を決める(自社が宅建業者の場合は除く)
売買を成立させるためこちらの味方をしてくれる業者を選択しましょう。
意外と社内の調整が大変になることもあります。残念ながら自社社員が全員自分の味方をしてくるとは限りません。あらゆるコネを活用して社内の調整をしておきましょう。
リスクの洗い出し
①土地に関する事
◆隣地との境界が決定しているか?
YES→「境界に関する協議書」等があり隣地所有者含めて記名押印がある事
(書類が有効である事の確認)
NO→ 境界確定には時間がかかるケースも多いですし、お金もそれなりにかかるので先ずは測量会社に相談しましょう。
見積り書をもらって社内決裁を取得し、境界確定作業に入ります。そもそも時間が掛かり過ぎると目論見通りのタイミングで決済出来ない可能性もあるので、社内ではその様なリスクがある事を伝えておきます。
※測量会社は、測量だけではなく出来れば「家屋調査士・司法書士」の資格を所有しワンストップで課題解決出来る会社を選択する事をお勧めします。信頼できる測量会社を知らない場合は媒介会社に紹介してもらいましょう。媒介会社であれば付き合いのある測量会社を何社か紹介してくれるはずです。
購入者に安心して土地を購入していただけるように、売り手の責任として境界を確定しておく必要があります。
◆土壌を汚染していないか?
購入者も安心しますし後々の憂いを少なくするために、土壌の自主調査をしておくことをお勧めします。
法的根拠はこちら(まずこのパンフレットをご確認ください)
◆万一汚していた場合は?
所轄する都道府県庁(若しくは市役所)に区域指定をしてもらい。その後汚染対策を実施。再び行政に報告し区域指定を解除してもらうのが一番美しい方法です。
※さらっと書きましたが土壌汚染に関しては法律に関する深い知識が必要です。
「土壌汚染対策に基づく指定調査機関」に相談するのが安全です。
調査~行政との調整~対策まで一気通貫で請け負ってくれる会社が多いはずです。
土壌対策の一般的な流れは、「地歴調査」→「表層調査」→「震度調査」→「対策」です。調査だけでも大きなコストがかかります。また、調査結果を行政に報告する必要も発生します。
②建物に関する事
◆PCBを含有している設備がある→(ポイント)有無の確認。PCBを処分できる施設が限られている上、そこそこの処分費用が発生します。
なお、PCB使用中は電気事業法、使用後はPCB特措法の縛りを受けます。
◆建材の一部に石綿が使用されている→(ポイント)有無の確認。
建物建材に含まれており撤去せずに売り渡す場合は撤去コスト見合いを売価から差し引く必要があります。(交渉事ですが・・)
→国土交通省「アスベスト対策Q&A」
◆老朽化した資産があり、資産価値が無い→(ポイント)有無の確認。
老朽化資産もあり姿のまま売却する場合は売価に反映させる必要があります(こちらも交渉事ですが・・)そもそも資産価値が落ちないように保全管理を行っているのが理想的ではあります。
③行政、地域に関する事
◆具体的な事例には言及しませんが、広報等を含めて慎重に進める必要があります。
ボタンの掛け違えみたいなことで行政や地域に迷惑をかけない様にご注意ください。行政、地域と喧嘩しても勝てませんので・・
色々な知識が必要ですし、失敗できない事項も多いのでプレッシャーがかかると思います。社内外に自分の味方を作って慎重に進めましょう。自分一人で悩みを抱え込まないようにすることが重要です!
前編は以上となります。最後までお読みいただきありがとうございました。なお、後編は具体的な売却活動に入ってからの推進方法について投稿する予定です。では、また。
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